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矢止め松の物語

香川県で介護福祉士をしながら、そこで垣間見える物語を曲にして歌っています。また地元CMソングやナレーションの仕事をしています。管納めぐみと言います。


コロナ禍という言葉を使うようになってあっという間に1年が経ちました。一番変わったことといえば県外へ行く機会が多かったのが、ぱたりと行かなくなったこと。だからか自然と地元の知らなかった場所へふらっと行ってみる。そんな機会が増えました。

その中で入居者に聞いた昔々から言い伝えがある“矢止め松”を見に行った話をしたいと思います。

今働いているグループホームには、今月で99歳になる女性が入居されています。地元の話をしてくれた時に教えてくれたのが“矢止め松”(香川県高松市の史跡)

地元ではよく待ち合わせ場所になっていたようで、郵便も“矢止め松”と書いたら届いていたと懐かしそうに話をしてくれました。

仕事帰り自転車で向かったその松がある場所は、小さな公園の中でした。民間駐車場の隣にあるブランコとベンチだけの小さな公園。




こんな場所に史跡があったのか、、と驚く場所にあったので正直1度通り過ぎてしまいました。

ひっそりと佇むその松(おそらく何代目かの松)は平安時代源平合戦の際に矢止めになった松と言われています。

その言い伝えは形を変え、矢止め松は地域のシンボルとなり待ち合わせスポットになり。。

今は史跡としてひっそり佇んでいますが、数十年前まではもっと身近で、人々の暮らしに溶け込んでいた存在。


インターネットで検索しても源平合戦の情報として矢止め松は出てきますが、地域の暮らしの中で変化した役割については流石に載っていませんでした。

その女性が話してくれたエピソードはネットには載っていない日常の中の矢止め松の存在。ここで沢山の物語が交差していると思うと想像が膨らみます。





自発的に話すことが少ない、その女性の意気揚々とした表情や話の中にこそ地続きに繋がる歴史が記憶として語り継がれているんだなと思いました。情報としてではなく1人1人の物語として。

99歳の誕生日、白寿を迎えるその女性にまたどんな質問をしてみようか。記憶の引き出しの中で垣間見える一瞬の物語に想いを巡らせてみる楽しさをコロナ禍改めて感じました。


管納 めぐみ

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