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医療的ケアの必要な子供たちや家族への支援について

こんにちは看護師の影山です。

私は現在、小児専門病院の心臓外科・循環器科の混合病棟に勤務しています。


当病棟では、先天性心疾患を中心に染色体異常の合併症で心臓に障害がある児に対し

内科的、外科的治療を施して地域への退院を目指し支援をしています。

退院していく児の中には退院後も医療的ケアが必要な児も少なくありません。



また、家族背景も様々で両親に障害があるケース、虐待や心疾患がある事で

里親がみつからず退院困難となるケースもあります。


このようなケースを担当する度に、地域での『受け皿』の必要性を感じ

ジレンマを抱えています。その中で今回は医療的ケア児について書きたいと思います。

厚生労働省によれば、医療的ケア児とは「医学の進歩を背景として

NICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し

たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な障害児のこと」と

定義しています。


このような医療的ケア児は現在、増加傾向にあり全国の医療的ケア児数は

約18.000人となっており、今後も増加していくと予想されます。

このような医療的ケアの必要な子どもたちやその家族への支援は

医療、福祉、保健、子育て支援などの多職種が連携し『受け皿』をつくることが

必要不可欠と考えます。

その中でも、退院調整時に重要なのは、地域におけるかかりつけ医、訪問看護など

緊急時の受け入れ体制を確保することです。


高齢者や末期がん患者などの在宅ケアは、ケアマネージャーを中心とした

コーディネーターが、利用者の在宅環境に合わせたサービスの提供を行っていますが

子どもの在宅ケアは未だコーディネーターの役割を担う人材育成が

十分な状態とは言えません。



また、医療的ケア児は普通の保育園に通うことが出来ないため

医療型短期入所、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの

障害福祉サービスを利用しながら在宅生活を送るのが一般的です。


しかし、様々な理由からこれらのサービスや施設を利用できないケースが多く

家族はほぼ24時間365日、付きっきりでケアを行わなければなりません。

本当にご家族は大変です。


各自治体により支援の差があるのも家族の介護負担を重くしている原因のひとつです。

私が住む地域でも、小児の訪問看護を行っているところは少なく

退院調整に苦労しているのが現実です。


来年度には診療報酬改定があり、更に入院日数の短縮を余儀なくされることでしょう。



これから私たちがすべきこと…。


医療的ケアが必要であっても、その子供たちとその家族が、家族らしく

安心して暮らせるように地域での『受け皿』をつくり、強化することだと思います。


医療的ケア児をもつ家族の不安を少しでも軽減出来るように。

地域全体で、支え合いながら子育てができる環境をつくりたいです。


現在、Needsが拠点として活動している北九州市には小児専門の訪問看護ステーションがあると聞いています。

素晴らしいことです。

このような施設のサポートも不可欠です。



来年、私は北九州に移住し本格的な活動をしていきます。

病棟で感じたジレンマを元に自分に何が出来るのか

この1年しっかり医療的ケア児を取り巻く環境や制度などを学び

考えていきたいと思います。


北九州市から全国へ、そして世界へ。


子供から高齢者まで全ての人が自分らしく生きられる社会をめざして。 NPO法人Needs 看護師:影山 由紀

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