インドネシア 医療支援活動報告2日目
インドネシア スラウェシ島地震
特定非営利活動法人ジャパンハート iER支援活動 活動報告
その2
◆活動2日目 2018/11/05◆
活動地: 午前Sigi県Dolo地区Baluase村3区、午後 Donggala県 Wombo
患者数:126人
活動内容:
【Sigi県 Dolo地区Baluase村3区】
村への道中も所々、震災により倒壊した家屋がみられた。場所によっては、地割れの跡があったりもした。
至る所に今回の地震の被害の深刻さが見られた。と同時に、インドネシアという国の美しさも目にすることができた。
大きな震災の後だという様に、その地は美しく、それでいて壮大であった。
インドネシアという国が如何に力強い国であるかを今回の訪問で体感することができた。
村では陽気な奥様方が出迎えてくれた。ある方は顔中に樹液?を塗っており、日焼け対策なんだと教えて下さった。テンションとキャラクターのインパクトに、活動全日程を通して、一番頭に残っている女性である。
仮設診療スペースを設置して活動開始。活動開始前に、前日の診療を振り返って「関節痛の診療」についてのミニレクチャーを実施。現地医師との知識面での交流もはかった。患者層は前日同様やはり慢性疾患の患者さんや不定愁訴の患者さんが多くを占めていた。
同日は診療だけでなく、レクリエーションにも参加させてもらった。持参していたパソコンを使って、非営利活動法人World Theater Projectさんより授かっていた、オリジナル短編クレイ映画『映画の妖精 フィルとムー』の上映を行なった。この地域でもそこで暮らす人々の明るさ、そして笑顔に逆に癒された。
【Donggala県 Wombo】
午前中の診療を終え、そこから移動してもう一つの活動地Donggala県Womboへ。
長い移動時間の末、到着した頃にはもう夕暮れ時。到着が遅くなったにも関わらず、多くの人たちが僕たちのことを待っててくれた。テントの中に診療スペースを設置して、診療開始。スタートからテントに入りきらない程の数の患者さんが来てくれた。Womboだけで計90人以上の患者さんの診療を行なった。日本人スタッフも診療に加わり、みんなで協力して診療を行う。ここでは、重症な方も数名いたりと、対応もバタバタ。ただ、今年の4月から同団体の長期医師ボランティアとしてカンボジアで医療活動を行なっており、通訳を開始した診療や物資・マンパワーの不足した環境、価値観の異なった環境での医療活動には慣れていたこともあり、焦るということはなかった様に感じる。そうは言っても、患者さん一人一人にゆっくりと話を聞く時間を取ることはできず、多くの方が抱えているであろう、被災に伴う精神面での問題に十分に寄り添うことができたとは言えなかった。また、現地医師のサポートに回るまでの余裕も持てず、元々の役割も十分に担えなかった。患者さんが多かったため仕方がないと言ってしまえばそうなのであるが、スタッフ全体での役割分担など含め、事前にこの様な状況を予測した上で準備しておくことができれば、もっとよくできたとも感じた。翌日以降同じ状況になった場合に備えて、しっかりと振り返りたいと思った。
診療後は夜遅かったこともあり、Womboの人たちが夕食をご馳走してくれた。メニューはカップラーメンと白米。カップラーメンは支援物資として他の団体が配給したものだそう。糖尿病などの慢性疾患が増え、またコントロールも悪化する震災後という状況。支援物資の内容もきちんと考えないと、現地の状況・ニーズを把握せずの身勝手な支援は支援ではないと、改めて自分たちの活動自体を見直すきっかけとなった。今回カウンターパートとして共同して下さっている現地NGO法人PKPUは、物資や食料の配給もしているが、配給内容には気をつけているということで、しっかりした団体と共同できていることに嬉しく思った。
食事の後は、診療中レクレーションが出来なかったこともあり、子ども達と戯れ。一度、追いかけっこが始まると休憩を取る間も与えてくれず、ひたすら走り回る。もちろん鬼は僕1人。多勢無税を相手にしながら、時間が時間なのにも関わらず、体力も元気も有り余っている元気一杯の子ども達に、これまた元気をもらった夜。
帰る前の集合写真の時には、ユニフォームが絞れるくらいに汗だくになっていた。
◆カウンターパートNGO PKPU◆
この日、活動後にカウンターパートを組ませて頂いているNGO PKPUの事務所を訪問させて頂いた。
今回、NGO PKPUは、現地スタッフの確保、現地からの生の情報提供、活動地の検討という点で主に共同して下さった。
事務所では、PKPUの方から
・現在が緊急フェーズは過ぎて、早期の回復フェーズに入っていること
・それでも食料や衛生キッドといった基本的なニーズはまだまだ沢山あること
・回復期には住宅確保が重要な支援となること
・仮設住宅には家を失った人たちのための集合住宅と土地が残っている人たちのための個別の住宅再建の2つの形があること
・政府の発表では家屋の崩壊は12万世帯とされているが、政府が支援としてコミットできるのは6万世帯程度(かつ集合住宅だけにフォーカス)で、現実不足しており、NGOにも協力要請が既に出ていること
・仮設住宅の後には永久住宅の建設も検討していく必要があり、そのための土地の安全性のアセスメントも今後の課題となること
・住宅が集まるところに学校や病院などの公的な機関建設の問題もついてくるため、同時に考えていかなければいけないこと
・PKPUは計22万人が亡くなった2004年スマトラ島沖地震の際にも支援をしており、5年間現地に関わった経験がある。2007年のスマトラのパダンの津波でも2年関わった。それらの経験から、今回も2年程のプログラムを考えているということ
などを共有して頂いた。
自分たちは1週間(団体しても今回は1ヶ月)という短期での関わりであり、年単位の長期に渡って震災支援というのは、その場では想像がつかなかった。きっと長期に関わっていくつもりの人たちにしか見えない景色があるんだろうなと感じさせられた。同時に、きっと短期間での関わりだからこそ見える景色も必ずあるはずであり、携わる機会を頂いたからには、1日1日を大切にしながら、自分たちにできることをしっかりと考えていきたいと思った。
ここで得た情報・経験を、自分の中だけで完結させるのではなく、生の声として広めることも、僕たちの役割であると強く感じた。また、直接的ではないにしても、活動を終えた後も、引き続き何かしらで支援に関わっていける様にしていけたらとも思った。
この日で第一陣は活動最終日となり、明日は第二陣だけでの活動となる。第一陣の方々が、何も勝手がわからないところから始め、きっと一番大変だったはず。第一陣から受け取ったバトンを、第三陣へしっかりと引き継いでいきたい。
NGO PKPU
https://pkpu.org
非営利活動法人World Theater Project
https://worldtheater-pj.net
特定非営利活動法人 ジャパンハート ホームページ
https://www.japanheart.org
現在、代表進谷が医療ボランティアとしてカンボジアで活動をしている、特定非営利活動法人ジャパンハートは「医療の届かないところに医療を届ける」をミッションに、ミャンマー、ラオス、カンボジアといった途上国や、今回のインドネシア地震 支援活動の様に被災地などに医療を届けるべく活動しています。こういったプラットホームと活動者を繋げるのも、医療と地域を繋げることを大きなテーマとしているNPO法人地域医療連繋団体.Needsの役割だと思っています。途上国での医療活動や災害支援などにご興味ある方はぜひホームページより確認してみてください。
Comments