インドネシア 医療支援活動報告1日目

インドネシア スラウェシ島地震

特定非営利活動法人 ジャパンハート iER支援活動 活動報告

その1

【背景】


2018年9月28日 日本時間午後7時頃(カンボジア時間午後5時頃)、インドネシアスラウェシ島にてM7.5(インドネシア気象気候地球物理学庁発表修正)の地震が発生。

先遣隊現地調査前(10月4日)時点でのインドネシア政府からの報告

震源地:スラウェシ島 Paluより78Km 北(深さ10km)

津波被害:1.5m(Palu市ドンガラ地区 沿岸10集落)

死者:1,407名(10月3日現在)

安否不明:113名(10月3日現在)

傷病者:2,550名(10月3日現在)

※情報ソース:GDACS

インドネシア政府は外国支援の受入れを発表、日本からは自衛隊の緊急救助隊と数団体のNGOが現場入りを発表していた。しかし、インドネシア保健省によると「医療は現地リソースで対応可能であり、外国医療支援の必要性はない」とし、外務省JDRもその声明を受け、正式要請がないため支援派遣を行わない(10月4日時点では)という状態であった。JHでは尚更調査活動の必要性が高まっていると判断。JHの災害支援対象国であり、被害状況が非常に深刻な状況であるため、そのような環境下で助けを必要としている人々のニーズにどの様に応えられるか、現地NGO(PKPU)と協働して検討する予定となった。

10月9日から10月13日まで先遣隊現地調査実施。

調査の結果、「外国団体として現地カウンターパートと共に活動する事は、正式な手続きを経て許可される」という前提を元に

下記のスケジュールで医療チーム遠征・活動実施の方針となった。

第1陣 10月31日~11月7日

第2陣 11月3日~11月10日

第3陣 11月6日~11月13日

第4陣 11月9日~11月16日

各行程8日間、現地活動4日間

支援内容は以下の通り

①現地医療チーム支援

②救援物資配布

③現地医療チームの補助、指導、薬品配布や管理の手伝い、雑務の手伝い、など

④食糧、衛生物資、シェルターキット

進谷は第二陣の派遣医師として現地入りとなった。


【被災状況について】

全体の被災状況の把握は困難な状況。

スラウェシ島中部スラウェシ州の州都Paluを中心にDonggala県、Sigi県で深刻な被害。

主に、地震、津波、液状化による被害が大きい。

主にPaluのBalaroa、Petobo、SigiのJono Ogeの3箇所での被害が深刻であるとのこと。

BalaroaとPetoboでは元々政府が埋め立てた計画都市であった。

両地は液状化の影響で一部の地域が完全に泥の下に埋もれてしまった。

そこにはそれぞれおよそ5000人の人が暮らしており、両地合わせて1万人以上の死傷者が予想されている。

現在、Paluの街中に掲げられた看板には被害者の総数は208910人との記載があった。

(日本のニュースによる直近の報告は10月9日時点での2000人超えまで)


現在、急性期(緊急フェーズ)は過ぎて、早期に回復期に入ってきている。

それでも、物資や衛生面での基本的なニーズは変わらず存在する。

回復期に入ってきて、上記ニーズの他に住居に関する支援についても考えていかなければいけない段階にある。

住居に関しては2種類の仮設住宅について考えていく必要がある。

集合住宅の建設:液状化や津波で土地、家を失った人たちのため

個別の住宅の再建:自分たちの土地が残っている人たちのため

インドネシア政府の発表では、家屋の崩壊はおよそ12万世帯ある。

そのうち、政府が建設できると述べているのは6万世帯分だけ。また、集合住宅だけにフォーカスしている。

政府だけでは、カバーが不可能なため、NGOにも協力要請が出ている。

上記、仮設住宅の建設後には、永久住宅の建設も検討して行く必要がある。そのためには、土地の安全性をアセスメントする必要があり、これからの課題。

公的な機関も家が集まるところに一緒について来るため、学校や病院の問題も仮設住宅を作るときには考えないといけない。

今後は住居も含めた、5つのセクター(住居、インフラ、社会的[教育や保健医療など]、経済発展、クロスセクター)で支援が進められていく。


【活動内容及び感想等】

◆活動1日目 2018/11/04◆

午前10時頃、現地活動中の第一陣と合流し、活動開始。

活動地: Sigi県Dolo地区Baluase村1区〜2区

患者数:57人

活動内容:

この日、第一陣が活動を開始してから、同行して下さっていた現地通訳の方々1人、朝から体調を崩してしまい活動継続が不可能な状態となった。第一陣のスタッフの話では、前日まではとても気さくで明るく振舞ってくれていた彼出会ったが、今朝、突然手が痺れ始め、気分不良を訴えたとのことであった。おそらくは、被災に伴う心因性のストレスに伴うものではないかという診断に至った。その話から、今回の震災が現地の人にどれほどの精神的ショックを与えたであろうかが想像された。

今回の派遣活動の前提として、規制上、基本的には日本人スタッフは患者さんに直接的なケアは実施せず、現地スタッフのサポートという形での活動参加となる(もちろん、患者さんの数が多く、手が足りない時には診療を行うこともあった)。活動初日は途中からの参加で、今後の活動にも影響する現地医師との関わり方という点に重きを置いた。医歴1年目の医師2名と医歴2年目のプライマリヘルスケア医師1名の3名。診療自体を見ると、慢性疾患(主に高血圧や糖尿病といった生活習慣病)に対して、その時点で診断を下して、生活指導やフォローアップの調整なしに薬を処方したりと、災害時の1日限りの医療支援としては、少し改善すべき点も見られた。ただ、現地医師の方々はみんなとても気が良く、積極的に患者さんの情報をプレゼンしてくれ、わからないところは積極的に質問してくれた。また、こちらのアドバイスには耳を傾けてくれ、活動の中で改善が見られた。活動二日目以降参加する医師は変わるということであったが、現地医師の考え方・価値観の尊重と患者さんへのDo no harmの2点に重点を置いて、バランスよく関わっていくことを心がけた。



また、短時間ではあるが、プライマリケア医として、医療・災害支援について少しでも何か伝えれる様な関わり方を意識した。患者さんに関しては、慢性疾患、不定愁訴(多くは災害による精神的不安に伴うものか)、普段医療受診しないため、”せっかくの機会だから”と受診している印象を受ける方が多かった。超急性期・急性期を超えて、回復期に入った災害現場の医療状況について、経験できるいい機会になった。回復期のニーズは精神面でのケアと保健・公衆衛生的なケアがメインの印象を受けた。同日は第一陣と第二陣合同での活動となったため、人数も多く、分担して、集まった子ども達とのレクレーションの時間も作れた。楽しそうに遊ぶ子ども達、そしてそれを見る大人の方々の笑顔を見て、診療だけでなく、被災した地域の人々とレクレーションなどを通して交流することも、災害時には大切な医療活動なのだと実感した。言葉や文化・価値観の違う場所で、災害(しかもかなりの規模の)後という特殊な条件下で医療者として支援に関わることがどういうこと考える貴重な機会となった。



◆被災地(Balaroa)見学◆


Palu空港を降りて、ホテルまでの道中だけでもかなりの衝撃だったが、Balaの現状を見せてもらった時は声が出なかった。元々およそ5000人の人が暮らしていた土地。そこが、今では泥にのまれてしまいほとんど建物もなく、ぐちゃぐちゃになっていた。そこで暮らしていた人たちが地面の下にまだ埋まっているという。

そこだけで5000人以上の死傷者が予想されるとのこと。報告での死傷者数2000人超えとの規模の乖離に愕然とした。如何にテレビやニュースの情報が現実と異なるかを実感した。もちろん、全体像の把握が難しい以上、現場で聴取される情報もどこまでが正確な情報かは不明である。しかし、少なくとも現地に足を運んで、自分の目で見て、耳で聞いて、五感で感じて初めて、”起こっている事象”を理解できるのだということが分かった。


荒れた土地に埋もれていた1冊のノートには『Follow Your Dreams~夢を追え~』の文字が。数学を勉強していたノートだろうか、中には数式が書かれていた。持ち主が今どうなっているかはわからない。でも、今回の突然の震災により、理不尽にも自分の夢を奪われたのは間違い無いのではないだろうか。



夕方という時間帯もあってか薄暗く、殺伐とした空気感。

不気味な静けさの中を風が空を切る音だけが響き。

空を舞う無数の鳥は、まるで餌となる亡骸を探しているかの様にも見えた。

しかし、その土地にも逞しく今を生きる人々の姿があった。

そんな土地でも子ども達の笑顔は本当に輝かしく、未来を明るく照らしている様に見えた。



震災というものがどういうものなのか、逆に解らなくなった。同日、活動地であったBaluase村 1区~2区(南Dolo地区 Sigi県)の人たちの笑顔。その底にもきっとまだ残っているであろう辛い想い。急に手足の痺れといった身体的症状が出現した現地通訳スタッフの様に、いつまた被災に伴う影響が身を襲うかわからない。自分たちは支援者として入っているが、本当に多くのことを学ばせてもらっているということを肝に命じて、自分がここに何故きたのか、きちんと考えてたいと思った。



活動後ホテルに戻ってから、スタッフみんなで日本から持ってきた災害食を食べながらミーティング。

現地で得た情報や同日の支援地の情報、翌日からの活動についてなどを共有し、また、それぞれ思い思いに1日を振り返り、心の内を話した。



特定非営利活動法人 ジャパンハート ホームページ

https://www.japanheart.org

現在、代表進谷が医療ボランティアとしてカンボジアで活動をしている、特定非営利活動法人ジャパンハートは「医療の届かないところに医療を届ける」をミッションに、ミャンマー、ラオス、カンボジアといった途上国や、今回のインドネシア地震 支援活動の様に被災地などに医療を届けるべく活動しています。こういったプラットホームと活動者を繋げるのも、医療と地域を繋げることを大きなテーマとしているNPO法人地域医療連繋団体.Needsの役割だと思っています。途上国での医療活動や災害支援などにご興味ある方はぜひホームページより確認してみてください。


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