「医師と患者さんをつなぐ医療職 Interpreter(通訳者)」


カンボジアに来てもうすぐ2ヶ月が経とうとしています。

この2ヶ月は毎日が充実していて、本当にあっという間の2ヶ月でした。

周りからも、まだきて2ヶ月足らずとは思えない馴染みっぷりと言われます。が、個人的にはもう2ヶ月、あと10ヶ月しかない。

少しでも多くのことを日本に持ち帰るためにも、限りあるここでの生活1日1日を大切にしていきたいと心底感じています。

進谷です。




現在、カンボジア ウドンにありますAsia Alliance Medical Center(以下AAMC)で医師として活動しています。

ここでは3つの言語が飛び交います。

日本語、英語、そしてクメール語。

もちろん患者さんは日本語も英語も話せませんので、診療はクメール語で行うことになります。しかし、僕はクメール語は話せません。

患者さんとのコミュニケーション(問診)は診療の一番最初に行う、最も大切な診察だと思っています。

もしかしたら、患者さんによっては色々と質問されることを鬱陶しく感じてしまう方もいるかもしれません。

しかし、患者さんの体に関する情報(症状についてや治療している疾患の有無、使用中の薬剤の有無やアレルギーの有無など)はもちろん、患者さんが不安に思っていること、患者さんの家族環境、社会背景、価値観などの情報を知らないと、私たちは患者さんにとって最適な診療を提供するができません。

医師患者間のコミュニケーションは診療の問診時だけに行われるものではありません。

疾患、検査結果や治療方針に関するインフォームド・コンセント(IC)の際、帰宅時の自宅生活に関する患者教育などの際にもコミュニケーションは行われます。

人と人とが関わることですから、非言語コミュニケーションを含め、コミュニケーションはあらゆる場で行われます。それが医療現場です。

アメリカで病院などの医療機関やヘルスケアプログラムの認証を行っているNPO法人 Joint Commissionは「病院における治療の結果、健康状態が改善しない・悪化する原因の7割は、コミュニケーションにある」という調査結果を発表しています。この数字は、医師の治療技術が原因となる場合よりも多い結果となっています。

doctor,Shut Up and Listen - The New York Times

https://www.nytimes.com/2015/01/05/opinion/doctor-shut-up-and-listen.html?_r=0

自分が病院を受診した時のことを思い返してほしい。

信用できる、好印象をもった医師からの診療は素直に受け止めることができ、以外に経過も良好。反対に、信用できない、嫌だなと感じた医師からの診療は素直に受け入れられないどこか、効果もイマイチ。

こういうことは経験したことがないだろうか。

実際、「信じること」の治癒効果は絶大だと言えます。

また、医師患者間のミスコミュニケーションは、医師と患者の信頼関係を構築を妨げ、「過剰医療」の原因ともなり得ます。

もちろん、医師患者間のミスコミュニケーションの原因は医師、患者さん双方にあり、各々が考えなければいけない一つの大きな課題です。

お互いに立場を尊重し合い、コミュニケーションを円滑にすること、それは医療の質を上げる一番の条件だと言えるのではないでしょうか。




過剰医療、医療不信、医療訴訟といったことが問題となっている日本

「日常診療を円滑に行うためにも、問診はどうあるのがいいか」

「医療者である自分は、患者さんと対話をする時にどういったことに注意すべきか、患者さんである自分は、医師の問診を受ける時にどういったことに注意すべきか」

医療職の方はもちろん、一般の方にも、ぜひ考えてもらいたいテーマの一つです。

それほど医療を行う上で重要なコミュニケーションですが、前述の通り僕はクメール語は話せません。にも関わらず、ここカンボジアで医療ができているのは、僕と患者さんとの間をつないでくれる存在があるからです。それはInterpreter 通訳者の方々です。

AAMCには現在、5人のInterpreter 通訳スタッフがいます。

その多くがカンボジア語と日本語の通訳者です。

医療における通訳は特に特殊で難しいということは言うまでもありません。情報をつなぐだけではなく、医療者と患者の信頼関係が生まれるかどうかも、Interpreter(通訳者)の腕にかかっています。

患者さんの訴え、医療者からの質問、双方からの言葉を的確に伝え、また、ただ、内容を伝えるだけでなく、ニュアンスもきちんと伝えなければ、医療者患者間の信頼関係は生まれません。

伝達のミスは医療ミスにも繋がります。それは患者さんの命に関わる問題となり得ます。

彼らはそれ程、責任が大きい役割を担ってくれています。

只の日常会話ではなく、専門用語も混ざり、特には深刻な話もしなければならない医療現場における会話。

それを自国の言葉ではない日本語で毎日勉強している姿にプロフェッショナリズムを感じています。

そんな姿を日々見ているからこそ、信じて、診療そして患者さんとの対話の通訳を任せることが出来ます。



実際、Interpreter(通訳者)のみんなのお陰で、僕は今カンボジアで医療を行うことが出来ていると言っても過言ではありません。

Interpreter(通訳者)はコミュニケーションを専門分野とした医療における一つの専門職、れっきとした医療者だと感じています。

その分、やはり求められることも多いです。厳しいことを言うなら、Interpreter(通訳者)の成長なしに、診療レベルの向上は成し得ません。

Interpreter(通訳者)の教育。

これも医師としてのここでの僕の役割だとも感じています。と言うか、既にいつも助けてもらってばかり、かつ、たくさんのことを彼らから教えてもらってばかりなので、何かしら還元できないと申し訳なさすぎるというのが本音です。。。

今年1年間、患者さん一人一人にとって最適な医療を提供できる様に、Interpreter(通訳者)の彼らと共に僕自身も成長し続けていきたいと思います。

そして、また別の機会に記載させて頂きますが、カンボジアに来てやはり医療の原点は教育そしてインフラ整備であり、それは途上国でも先進国でも変わらないと感じています。

資源・環境といった面から十分な医療提供を行うことが難しいカンボジアでも、日本とはまた違う意味で、病気にならない様にする方法を考えていく必要があります。

やはり医療においては川下での診療だけではなく、川上での予防(教育・インフラ整備など)が重要です。しかし、その点に関する支援がまだまだ不十分なのが現状です。

僕個人としてはInterpreter(通訳者)のみんなと共に「地域での予防教育の展開」を実現できたらなーなんて思っていますが、たった1年の滞在でどこまでできるかわかりませんので、それは今後のお楽しみということで。

日々お世話になっているInterpreter(通訳者)のみんなに感謝の意を込めて。

進谷 憲亮

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